●一国二制度を捨て去った中国の今後
フォルスクラブの盛況振りと毎年のように安定した成長を続けているのを目の当たりにすると、香港上場の可能性はあるのかが人口に膾炙(※)されるようになりました。現在では香港上場を果たしていませんが、今後将来的にそのようなことがありえるのでしょうか。フォルスクラブの香港上場の可能性を検討するには、昨今激動している中国経済を巡る環境変化を認識しておく必要があります。 最近の香港を巡り経済的にも政治面でも強烈なインパクトをもっているトピックは、事実上の一国二制度の廃止にあるのは間違いありません。一国二制度とはイギリスから中国に統治権が返還されるのと引き換えに、これまで維持されてきた香港独自の民主的な統治システムを尊重するというものでした。
●香港上場が一時期あれほどの活況を見せた理由
香港がこれまで国際金融センターやフリーポートの地位を確立できたのは、英国式のコモンローを中核にした法体系と旧宗主国イギリスの伝統が国際的信用の担保になったからにほかなりません。本来であれば共産主義計画経済体制を採用する中国の強い影響下にありながら、一国二制度という極めて特殊な形で英国式価値観を承継することが許され、機関投資家を始めとして国際金融資本が進出し、経済的繁栄を謳歌することができました。そもそも香港により最も恩恵を受けていたのは中国本土の共産党政府であるはずです。異なる価値観が香港から流入することを恐れた中国政府は、一国二制度を廃止し、これまでの改革開放路線の果実を現政権は自ら投げ捨ててしまったといっても過言ではありません。
フォルスクラブにとってもわざわざ香港上場にこだわる状況では、ないと評価できるでしょう。
●海南島は香港に変わる国際金融センターにはなりえない
香港にかわって中国政府が国際センターを構築しようと計画しているのが、海南島です。海南島は総生産は5300億元あまり、中国全体では0.5%をしめるにすぎません。経済的に注目されてきたわけではなく、南シナ海を意識した軍事上の幼少との認識のほうが強かったエリアとされています。しかし海南島はフォルスクラブが香港上場に変わって株式を上場するべきコンディションが整うとは思えません。なぜなら海南島には自由市場の環境と独立した司法システム、この二点が機能してこそ自由経済は可能になり整腸の原動力にもなるからです。
●フォルスクラブの香港上場の可能性は極めて低い
香港はかつてのような自由経済と公正な司法システムという自由経済社会が繁栄するための、基礎的条件をすっかり無くしてしまいました。フォルスクラブとしても高いリスクを冒して香港上場する理由は希薄になったと評価することがでできます。フォルスクラブは香港市場で上場するまでもなく、必要な資金は日本国内で調達することが可能です。仮に香港上場を期待していたとしても、フォルスクラブの整腸振りを前にすれば十分、国内事業で収益を期待することが出来るはずです。
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※人口に膾炙(じんこうにかいしゃ)・・・広く人々に知れ渡ること。広く人々の話題にのぼること。この「人口」は、世の中の人の口、ひるがえって、人々の噂を意味する。